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2024年11月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

    
フロカリ / ノート

 テストで満点が取れるなら授業なんて受けなくてもいいじゃん、というのはフロイドの持論である。
 しかし現実はそうもいかなくて、仕方なく受けたくもない授業を受けなければならない。学生とはままならないものだ。
 早々に教師の話す歴史の話を右から左へと流すことにしたフロイドは、ノートに落書きをすることにした。
 この間はタコとウツボの落書きをした。じゃあ今日は何を描こうかな、と悩む。
 ぐるぐると指の上でペンを回して、不意に頭に浮かんだ動物をノートに描き始める。
 フロイドが描くのはたいてい海の生き物だ。当然、今回も同じである。
 円な瞳と、小さな両手に貝を持った愛くるしい姿をノートに描きこむ。フロイドがペンをノートから離れさせると、そこには小さなラッコがいた。
 意外と上手く描けたそれに満足しつつ、でも何かが足りないと頭を傾ぐ。じっと己の描いたラッコを見て、ピンときたそれを描き足した。
 小さなラッコの頭にターバンを描き加えて、これでラッコは完成だ。うんうんと納得の出来に頷く。
 ノートに浮かぶラッコ一匹。納得の出来ではあるけれど、広いノートに一匹だけでは少し寂しそうだとフロイドは思った。
 それならばと隣にもう一匹描き足すことにした。今度はラッコではない生き物だけれど。
 左右の目の色が異なるウツボを一匹、ラッコに寄り添うように描いた。これでもうノートのラッコは寂しくないだろう。なんてったってウツボは愛情深い生き物なのだから。こんなに可愛らしいラッコを一匹にしておくはずがない。
 ノートの海に浮かぶ二匹が、どことなく楽しそうに見える。内心で自画自賛していると、フロイドが真面目に授業を受けていないことに気づいたトレインに問題を解くように当てられた。
 当然、話を聞いていなかったフロイドがそれに応えられるわけもなく。放課後に補習を受けるようにと注意された。

 補習から逃げようとしたけれど、放課後になった途端に教室にトレインが現れ、そのまま引っ張られるようにして補習を受けことになった。
 真面目に授業を受ければ優秀なフロイドである。面倒くさいのを我慢すればすぐに補習は終わった。
 早く補習から開放されたいと頑張った甲斐もあって、まだ空の色は十分明るい。
 今日は何をしようかと二つに割れた尾びれを動かす。部活には行く気になれないし、モストロ・ラウンジに顔を出すにはまだ早い。それに今日はシフトも入ってないので、別に行く必要もない。
 何か楽しいことがないかと学園の中をブラブラしていると、進行方向に目立つ白色を見つけた。
 ジャケットの代わりに白いカーディガンを着ている人物など、フロイドは一人しか知らない。
 フロイドにとってお気に入りでもある彼に、にんまりと笑みが浮かぶ。今日は彼と一緒に遊んで過ごそう。
「ラ〜ッコちゃん! オレと遊ぼぉ」
「うわっ、フロイド?」
 後ろから勢いよく抱きついて、でも彼が倒れてしまわないように抱え込む。
 フロイドから「ラッコちゃん」と呼ばれた少年こと、カリム・アルアジームは一瞬だけ驚いた表情を見せたが、すぐに「いいぞ!」と頷いてくれた。こういうところがお気に入りなのだ。
 カリムはフロイドを否定しない。フロイドの自由なところも、飽きっぽいところも、束縛されるのが嫌いなことも。なんだって受け止めて、フロイドの好きなようにさせてくれる珍しい人物だ。
 だからフロイドはカリムのことを気に入っている。アズールからもカリムと仲良くすることをなぜか推奨されているし、双子であるジェイドもカリムのことを気に入っているようだった。
 そういえば、と魔法史のノートの存在を思い出した。今日描いた落書きはラッコの落書きだ。自分でもよく描けたと思ったそれを、腕の中にいるカリムにも見せようと思った。
「ラッコちゃん、こっち来て」
 カリムを抱きしめてた腕を離して、今度は手を掴んだ。フロイドよりも小さい手に、なんだか胸の内側が暖かくなる。
 カリムは「どこに行くんだ?」と聞いても嫌がる素振りはまったく見せず、フロイドにおとなしくついていく。目的地はすぐそこだ。
 ついたのは教室で、先程までフロイドが補習を受けていた場所である。フロイドが勝手に荷物を置いている席に行き、そこをガサゴソと漁って目的のものを取り出す。
 取り出した魔法史のノートを、カリムは不思議そうに見ている。フロイドは、そんなカリムが落書きを見てどう反応するのか楽しみになった。
 ぺらぺらと白い部分が多いノートをめくって、今日描いたばかりの落書きのページを開く。そこには相変わらずラッコとウツボが仲良く寄り添っていた。
「見て〜、今日の授業中に描いたんだぁ」
「おおっ、フロイドは絵も上手いな!」
 何でもできて本当にすごいなぁと感心するカリムに、気分が上昇する。もっと褒めていいよぉと促せば、促した分だけカリムはフロイドを褒めてくれた。
「それにしても可愛いラッコとウツボだな! これ、オレとフロイドのことを描いてくれたんだろ、ありがとうな」
「へぁ? なんでオレとラッコちゃんなの?」
 突然、このラッコのモデルは自分とフロイドではないかと言い始めたカリムに疑問を持つ。フロイドは全くそのつもりはなかったので、どうしてそう思ったのかと問うた。
「だってこのラッコはターバンを巻いてるし、ウツボは右目に色を塗ってなくて、左目に色を塗ってるから、フロイドのことだろ?」
 言われてみて、改めてノートを見直す。確かにラッコに描き足したターバンはカリムが身に着けているものと同じに見えるし、左右で色の違うウツボは自分の目の色と同じに見えた。
 全くそんなことを意識せずに描いていたフロイドは、再び「可愛く描いてくれてありがとな!」と礼を言うカリムに何も言えなくなった。
 ウツボは愛情深い生き物だから、このラッコはもう寂しくないだろう。
 描いたときに思ったことが頭の中を巡って、フロイドは勢いよくノートを閉じた。
「わっ、どうしたんだ? フロイド」
「……なんでもない」
 不思議そうに見つめてくるカリムに、フロイドは何も言えなかった。

 なにせ、今しがた自覚したばかりのカリムへの気持ちに、フロイドの感情が追いつかなかったものだから!畳む
    
フロカリ / 求愛行動

 最近、ラッコちゃんの様子がおかしい。フロイドはそう思った。
 ラッコちゃんとはフロイドがつけた同学年のカリム・アルアジームのあだ名だ。そして、フロイドの想い人でもある。
 何かと好きだと言ってくるし、自作したらしいお菓子をくれる。見た目は悪かったけど、味は悪くなかった。
 どうしたんだろうと疑問に思うが、好きな相手から好きだと言われることも、多少見た目が悪くても自作だというお菓子をもらうのも嬉しいことに違いはない。
 しかし、フロイドにはこんなことをされる覚えはなかった。確かにカリムに対して「好きだ」と伝えれば同じように「オレも好きだぜ!」と応えてくれていたが、カリムから「好きだ」と言われることは今までなかった。
 どうせ友人としての好きなのだろう。カリムの好きはいっぱいいて、その中の特別になれたとはフロイドはまだ思っていない。
 いずれ特別になるとは考えているが、現状ではただの仲のいい友達としか思われていないはずだ。
 だからフロイドはあまり期待せずに、カリムに好きと伝えられたときに、「オレもラッコちゃんのこと好きだよ〜」と軽く返していた。その言葉に、ほんの少し恋情を込めて。
 カリムからの好きが、友達としての好きではなく恋愛としての好きへと変わってくれるよう願いを込めながら。
 我ながら随分と臆病だと思うし、自分らしくないとも思う。
 普段なら自由に言いたいことを言って、やりたいことをやる。だからさっさとカリムに対して想いを告げて、たとえ断られてもさっさと攫ってしまうべきなのだとわかっている。わかっているのだが。
 カリムの太陽のように眩しい笑顔を見ると、どんなひどいことも出来なくなる。形も不揃いで少し焦げたクッキーも目の前で食べてしまうし、歯が溶けそうなほど甘すぎる紅茶だって飲み干すことができる。
 だからカリムが好きなのだと気づいたのは最近だ。カリムが悲しいと感じるかもしれないことはできないし、したくない。きっとカリムから差し出されたものなら毒だって飲み干してみせるだろう。
「それは恋ですよ」
 カリムに対し抱く感情が何なのか、己の片割れであるジェイドに相談したらそう教えられた。珍しそうに目を見開いてしげしげと見つめられるのはいい気分じゃなかったから、その時は手を使って乱雑にジェイドの顔を無理やり逸らさせた。
 きっとこれも、カリム相手にはできないことだ。

 平日の朝、今日もまたカリムはフロイドに好きだと伝えにくるのだろうと、寮から出た。
 鏡舎から出るとそこにはカリムがいて、フロイドの姿を見つけると嬉しそうに笑った。それだけで機嫌が良くなり、今日は真面目に授業を受けようという気分になる。
「おはよぉ、ラッコちゃん」
「ああ、おはよう! フロイド!」
 どうせだから一緒に学校に行こうと考えて声をかければ、元気よくカリムも返してくれた。
 それから、カリムはフロイドにとって、とんでもないことをした。
 ぐわっと大きく口を開いて見せた。それにドキリと心臓が跳ね上がる。ウツボの人魚にとって、口を大きく開いて見せるのは求愛行動だからだ。
 咄嗟にフロイドはカリムの口を手のひらで塞いだ。心臓がばくばくと大きく脈打っている。どうして突然そんなことをしたのかはわからないが、迂闊なことはしないでほしい。
「ふおいお?」
「ラッコちゃん……そーいうの、あんまやっちゃ駄目だよ」
 特にジェイドの前では、と心の中で付け足す。
 すると、珍しくカリムが不満そうな顔をしながらフロイドの手を掴んで、己の口から離した。
「むぅ、これでも伝わらないか」
「……は? 伝わらないって、何が?」
「ウツボは口を大きく開けるのが求愛行動って聞いたけど、違ったんだな!」
 何を伝えたかったのかと問えば、とんでもない返事が返ってきた。
 そのまま「うーん」と唸りながら考え出すカリムに、フロイドの頭の中は真っ白になる。
 求愛行動、確かに先程カリムがやったのはウツボの求愛行動のそれだ。でも、何故カリムがそんなことをしたのか。
 これでも伝わらない、カリムは確かにそう言った。もしかしたら自分は何かとんでもない勘違いをしていないか。
「やっぱ言葉で伝えないと駄目だよな! 好きだぜ、フロイド!」
 音で表すならキラキラという音が似合いそうな笑顔でカリムが言う。そうしてやっとフロイドは気がついた。今までカリムが己にしてきたことは、好きだと言ったり、手作りのお菓子をくれたりしたのも、全てフロイドへの求愛行動だったのだと。
 今日までのカリムとのやり取りが一気に頭の中で再生されて、フロイドは今度は自分の口元を覆い隠した。
 そのまま座り込んで俯く。でなければ、顔が赤いのがカリムにバレてしまう。
「ふ、フロイド? どうした、具合でも悪いのか!?」
  急に座りだしたフロイドを心配してか、カリムが慌てだす。同じようにしゃがみこんでなんとかフロイドの顔を見ようとする。情けない顔をしているに違いない自分の顔を見られたくなかったフロイドは、しゃがみこんだカリムの首元へと顔を埋めた。
 カリムの首元から香る、どこか甘い匂いにくらりとしながらぎゅっと彼の体を抱きしめる。
「わっ、どうしたんだ、フロイド!」
「ラッコちゃんさぁ、ほんと……ほんとさぁ、そういうとこだからね……」
「そういうとこ……?」
 どういうところだ? などと疑問符を浮かべているであろうカリムに、両思いだったのだと漸く気づいたフロイドは、彼の唇に噛み付くようなキスをしてやるのだった。畳む
    
フロカリ / 人はそれを萌えと言う

「ラッコちゃんはさー、ちゃんと制服着ないよね。オレが言えることじゃないけど」
 昼休みの中庭で。暖かそうで触り心地も最高級な白いカーディガンの端を摘んでひらひらと揺らすと、カリムはきょとんとした顔でフロイドを見上げた。
「んー、だってジャケットだけだと寒いだろ?」
「寒い? 寒いのラッコちゃん。裾は捲くってんのに?」
「暑いのは得意なんだけど寒いのは苦手なんだよなぁ。ここは熱砂の国と比べると寒いから。あと、窮屈な服装って好きじゃないんだ」
 確かに熱砂の国と比べるとナイトレイブンカレッジは寒いだろう。というか、どこと比較しても寒いに違いない。
 もう一つの理由はフロイドも理解できた。窮屈な格好はフロイドも好きではない。だから制服も寮服も着崩している。きっちりと着こなしている片割れを見ると、息苦しくないかと思ってしまうときだってあるくらいだ。
 そういえばスカラビアの寮服は随分とゆったりとした服装だったなと思い返す。あの格好に慣れていたら、確かに学校の制服は窮屈で仕方ないだろう。
「センセーとかに怒られたりしねーの?」
「先生に怒られたことはないけど、リドルにならあるぜ!」
 突然出てきたもう一人のお気に入りの名前を出されて、すぐに確かにと納得する。リドルという少年は規律に関して非常にうるさい。
 からかうと真っ赤になって、まるで金魚のようで面白いが、規律についてつらつらと説教してくるところは少しうざいと思っている。
 しかしそんなリドルに説教されたであろうカリムが、未だに正しく制服を着ようとしていないあたり、どうやらリドルのほうが折れたということが伺える。自分もそうだが、カリムにはつい甘く接してしまう生徒がこの学校には多い気がするとフロイドは思った。
 カリムの太陽のようにそこはかとなく明るい笑顔に浄化されてしまうのか、どんな嫌味を言っても前向きに捉えられてしまうからか。自然とカリムの望むように話は展開する。
 これはもう、彼の持って生まれた才能だろう。そのせいでカリムの従者はオーバーブロットしてしまったが、フロイドとしてはそういったところも気に入っているところである。また、こちらもたまにうざいと感じることには違わないが。
「それにジャケットがどこにあるかわからないしな。多分、ジャミルは知ってるんだろうけど」
 オレにジャケット着る気がないってことも知ってるから、ジャケットは永久に行方不明だ、とあっけらかんと言い放つところに笑ってしまう。
 しかしそうなると逆にジャケットを着せてみたくなるのがフロイドだった。
 フロイドは自分が来ていたジャケットを脱いで、カリムに投げ渡す。いきなり飛んできたそれを慌てて受け取ったカリムは不思議そうにフロイドのジャケットに視線を落とした。
「オレのジャケットでいいから着てみてよ、オレのサイズなら窮屈じゃないでしょ? ラッコちゃんがちゃんと制服着てるの見てみたい」
「なんかわからないが、フロイドが見たいってんならいいぜ!」
 言うが早いか、カリムはもともと着ていたカーディガンを脱いでフロイドに渡した。手の中にあるカーディガンはふわふわしていて、それでいて滑らかで、先程も感じたが触り心地がとても良い。いつまでも触っていたくなるような中毒性がある気がする。
 ラウンジでの日々の売上を計算しているアズールを思い浮かべながらいったいこれだけでいくらするのだろうと考えてしまう。
 が、大富豪の長子たる彼にとっては大したことのない額なのだろう。なにせ色が白だ。それを普段から着ている。汚れなんて全く気にせず、汚れたら買い換えられる程度のものなのだ。
 それなら一着もらえないかなぁと触り心地に夢中になっていると、「フロイド!」とカリムに名を呼ばれる。
 もふもふと手の中で遊ばせていたカーディガンから視線を上げ、フロイドのジャケットを来たカリムを見て、フロイドは固まった。
 肩幅の位置がそもそも違うため、ダボッとした印象が与えられる。袖もだるだるでカリムの指先すら見えない。裾は短めのワンピースほどある。とてもではないが似合うとは言えない状態だった。だが、
「なっはっはっ、やっぱりフロイドのサイズだとこうなるよな! どうだ? これでも似合ってるか?」
 見えない指先をひらひらさせて、その場で一度くるりと回転するカリムに、フロイドは胸に去来する感情に戸惑う。
 ぐっ、と何かがこみ上げてくるような衝動を抑え込む。言葉にできない、なんとも言えない感情に戸惑いつつも、フロイドは本能的に思った。
 これは、他の人間には見せてはいけないものだと。
「ラッコちゃん」
「おう、……どうしたんだフロイド、そんな真剣な顔して」
「オレのことはいいから。とにかく、その格好、他の雑魚には見せちゃ駄目だから」
「え、そんなに似合わなかったか?」
「似合うとか似合わないとかじゃねーから。あと、ジャケット着てとかお願いされても着ちゃ駄目。絶対」
「そんなこと言うやつあんまいないと思うけど……わ、わかった。もう着ないから怖い顔しないでくれ」
「オレの前だけなら着てもいーよ」
 ただし着るのはオレのジャケットね、と付け足すと、カリムは不思議そうにしながらも頷いた。
 これでフロイド以外がカリムのちゃんとした――サイズが全くあっていないが――制服姿を見ることはなくなった。そのことになぜか安堵する。しかし、それで話は終わらないのだ。
「あ、」
 安堵したのもつかの間、何かに気づいたようにカリムが声を上げた。どうかしたのかと思うと、カリムの手先をすっかりと隠してしまっている袖にカリムは顔を埋めるようにして嬉しそうに言う。
「これ、フロイドの匂いがするな。オレ、フロイドの匂い好きだからもうちょっと着てていいか?」

 再び去来した激しい感情に、フロイドは近くにあった木に頭を打ち付け、中庭にフロイドを心配するカリムの声が響いた。畳む
    
フロカリ / ほころぶ口元を隠しきれない

 ずっと憧れていたことがある。
 キラキラと色とりどりの装飾、通りに並ぶ様々な出店に、街中を練り歩くパレード、軽業を披露する曲芸師たち。それらを楽しそうに見つめるたくさんの笑顔。
 熱砂の国で、サマーホリデー中に行われる祭り。誰もが笑顔で溢れていて、どんなことにもみんなが楽しんでいるのがよくわかる。
 その様子を、カリムはいつも自室のバルコニーから眺めていた。否、眺めていることしかできなかった。
 なにせカリムは世界に名を轟かせる大富豪、アジーム家の長子だったものだから、常にその命を狙われている。
 だからカリムはどれだけ強請っても、あんなに人が多いところに行ったら命がいくらあっても足りないからと、アジーム家に仕える者たちに止められた。
 自分を心配し、心苦しそうにする従者たちの顔を見ると、カリムはそんな我侭を言わなくなった。もしもあの場に行ってカリムに何かあったとき、罰せられるのは彼らだから。
 だから、想像するのだ。バルコニーから見える色彩豊かな光と、人々であふれる祭りの中に、自分がいたのならと。
 たくさんの出店に並んでいる商品や食料に目を輝かせ、パレードが目の間を通り過ぎていく様を、曲芸師の技術に目を奪われることを。想像の中の自分はいつも楽しそうで、けれど現実の自分はそうではなかった。
 パレードなら命じればいつだって開催できる。曲芸師だって家に直接呼び出してしまえばいい。料理は一流の職人によって最高級のものが供される。
 けれど、そうではないのだ。家の名を翳して呼びつけるのではなく、見知らぬ誰かと笑い合いながら楽しみたいのだ。カリムの知らない人たちと、カリムを知らない人たちと一緒に楽しさを分かち合いたいのだ。
 だからだろうか、宴が好きで、ついつい定期的に開催してしまうのは。
 楽しさを分かち合うのは寮生のみんなで、誰も彼もがカリムのことを知っているけれど、それでもたくさんの人で楽しむのがカリムは好きだ。
 たくさんのおいしい料理と、豪華なパレード。音楽に合わせて踊ったり歌ったり、宴だってもちろん楽しい。
 けれども、一度だけ。一度だけでいいから祭りというものに行ってみたかった。カリムの従者に言えば、当たり前のように却下されてしまうが、それでも小さな頃に抱いた憧れはいつまで経っても消えてくれなかった。


 ◆ ◆ ◆
 
 
 それを見たのはたまたまだった。もうすぐサマーホリデーを迎えるNRCの近くで、祭りが開催されるという主旨のポスター。カリムはそれに釘付けになった。
 開催されるのはちょうど休みの日で、行こうと思えば行ける場所だった。
 しかし学園の外にはカリムにとって危険で溢れている。常に命を狙われ、誘拐の危機がそこかしこにあるのだ。この祭りに参加したいと言おうものなら、彼の従者――ジャミルになんと言われるだろうか。あまりにも容易に想像できてしまって、カリムらしくない苦笑いが浮かんでしまう。
 諦めなければいけないと思うほど、行きたくなってしまうのは人間の性だろうか。せめて雰囲気だけでも知りたいと、ポスターの前に立ち止まってそれを眺め続けていた。
 そんなときだ。聞き覚えのある声に呼ばれたのは。
「ラッコちゃん、そんなとこにぼーっと立ってなにしてんの? 邪魔なんだけど」
「フロイド、」
 ラッコちゃん、と自分にあだ名をつけた人物――正確には人魚だが――は一人しかいない。
 その声に振り返ると予想通り、フロイドがいた。
 邪魔だなんて辛辣なことを言われても、カリムはにこりと笑い、「ごめんな!」と言いながらその場を離れようとした。けれど、それはできなかった。
「なぁに見てんの……夏祭りぃ?」
 カリムが見ていたポスターをフロイドが読み上げる。それからニヤニヤと笑みを浮かべ、カリムの顔を覗き込んできた。
「ラッコちゃんはこれに行きたいの?」
 答えがわかっていながら聞いてきているのだろう。カリムは一度、誤魔化そうとして、すぐに諦めた。
 己が壊滅的に嘘が下手だと言うことを、自分自身よく知っているからだ。素直なのが取り柄だと胸を張って言える程度にカリムは自分の心に素直であった。
「ああ、こういうの、楽しそうだろ? オレは行ったことがないから行ってみたくてさ」
 子供っぽいと思われただろうか、少し気恥ずかしくなりながら頬を指先で掻きながら頷く。
「え〜? ラッコちゃんてばこういうの好きそうなのに、行ったことがないの?」
 フロイドは不思議そうにそう言ったあと、「あ、」と何かに気づいたように言葉を飲み込んだ。言葉を飲み込むなんてフロイドにしては珍しいが、カリムが祭りに行ったことがない理由に思い当たったのだろう。
 カリムは眉をハの字にしながら笑った。笑う以外にどうすればいいのかわからなかったからだ。
 気分屋で自由人なフロイドに気を使われたくはない。だから何かと理由をつけて、この場を離れようとしたときだった。
「じゃあさ、オレと一緒に行っちゃう? お祭り」
「え……?」
 ポスターを指差しながらカリムに問う。そんなフロイドにカリムはついていけず、なにを言われたのかすぐにはわからなかった。
 そんなふうに呆然としているカリムの右手を徐にフロイドが取り、彼の小指がカリムの小指へと絡まる。
「オレと一緒にこの祭りに行くこと、約束だよ。ラッコちゃん」
 指切った、と手が離れていく。それを見守ったあと、フロイドが言ったことを漸く理解して、カリムは慌てた。
 大変な約束をしてしまった。今すぐ取り消してもらわないといけない。
「フロイド、オレは祭りには行けな……っ」
「あ、あとぉ、このことは他の誰にも言っちゃ駄目だから。これも約束ね」
「ええっ、でも……」
 ジャミルになにも言わずに祭りになんて行ったら後が怖い。
 だからこそなんとか断ろうとするも、突然フロイドが悲しそうに目を細める。
「約束したのに、指切りまでしたのに。ラッコちゃんはオレと一緒に祭りに行ってくれないんだぁ」
「う、うう、そんなことはないぞ! でも外は危険だから……」
 あからさまに悲しそうなそれが演技であると誰もが気づくだろうが、お人好しであるカリムはそれが見抜けない。
「オレといるのに危険なんてあるわけないじゃん。じゃあ次の休みの日にここに集合ね。約束だから絶対だよ」
 またしても右手を取られて指切りされてしまった。絶対だとまで言われて、カリムはますます困った。
 約束は大切だ。約束を破ってしまったら相手が傷つくし、傷つけてしまった自分の心も痛む。これが商談だったら信用の問題にも繋がる。
 困った様子のカリムを放って、フロイドは「またね〜」と手を振ってどこかへと行ってしまった。鏡舎の方だったから、寮に帰るのだろう。
 追いかけて約束をなかったことにしてもらおうとしたが、悲しげなフロイドの表情を思い出すとそれもできない、
 次の休みの日、カリムはこの場に来ることになるだろう。そのときにこそ祭りには行けないのだと言うしかない。
 でも――ちらりとポスターに目を向けた。
 心の奥で祭りに行きたいと駄々をこねる幼い自分がいた。飲み込むしかできなかったかつての我侭を、叶えてやることができるかもしれない。
 本当はいけないことなのに、どうしても期待してしまう。どうしようと悩んでいるのに、心の中の天秤は一方に今にも傾いてしまいそうだ。
 とにかく、当日までジャミルには秘密にしておかなければ。祭りに行くことができなくても、その約束くらいは守らなければと、カリムは自分に言い聞かせた。

 そうして迎えた休みの日。カリムは普段は着ないようなシンプルな服装に、顔を隠すための帽子を深く被ってポスターの前に立っていた。
 寮を出るときにジャミルが自室にいたことを確認し、魔法の絨毯を使って己の部屋から出てきたから、ジャミルはきっとカリムは部屋にいるものと思っているだろう。
 フロイドと祭りに行く約束をしたことを黙っているのは大変だったが、ジャミルは気づかなかったようだ。いつも以上にニコニコと顔が笑顔を作ろうとするのを堪えていたが、カリムが変な行動をするのはよくあることだと気にしなかったらしい。
 おかげで気づかれずにここにいる……と、そこまで考えて、ぶんぶんと頭を振った。
 ここへはフロイドと祭り行くことはできないと告げるために来たのだ。決して祭りを楽しむためではない。
 ……しかし、斜めがけの鞄には何かがあったとき用にと、いくらかのマドルが入っている。断じて大した意味はないが。
「あは、ラッコちゃん祭りに行く気まんまんじゃん」
 背後から聞こえた声に、カリムは振り返る。そこにはラフな格好をしたフロイドが立っていた。
 楽しそうに口元を緩めてカリムを見下ろす姿に、カリムはハッとした。
「ち、違う! やっぱり祭りには行けないんだって言いに来たんだ。誘ってくれて嬉しかったけど、やっぱりオレは……」
「ウミヘビくんに祭りのこと秘密にして、そんな顔隠すような帽子被って言い訳しても説得力ないからさ、早く行っちゃおうよ」
 フロイドとの距離が縮まって、約束をした日のように手を取られる。今度は小指を絡めるのではなく、そっと握りしめられた。
「オレ、陸の祭りって初めてなんだよね〜。なにがあんのかな? 楽しみだね、ラッコちゃん」
「ふ、フロイド、待ってくれ。だからオレは行けないって……」
「口元がめちゃくちゃ緩んでるのに何言ってんのぉ? 大丈夫だよ、危ないことがあったらオレがラッコちゃんのこと守ってあげるから」
 口元が緩んでると言われて、空いている手で抑える。確かに言われたとおり、カリムの思考とは全く逆に口角が上がって、どうみても笑顔になっているとしか思えなかった。
「これは……その、」
「いーから、ラッコちゃんは祭りの会場に行くまで黙ってて。オレも今日のこと楽しみにしてたんだから、今更行くのなしとかねーから」
 ね? と帽子の下のカリムの顔を覗き込んだフロイドもまた楽しそうな――普段の悪いことを考えているようなものではなくて、とても純粋な――笑顔だった。
 そんなフロイドの表情を見てしまっては、もう駄目だと思った。
 フロイドの笑顔に釣られたようにカリムもくしゃりと顔を綻ばせ、握られた手を握り返した。畳む
    
フロカリ / 初

「あのさぁ、付き合うって何すればいいの〜?」
 どこか情けない色味を帯びた声がモストロラウンジのVIPルームに響いた。
 ラウンジが閉店してから今日の売上を集計していたアズールと、同じように事務仕事をしていたジェイドは思わずその声の発生源を見る。
 そこには気怠そうに横になりながらどこか深刻そうな表情をしているフロイドがいる。
 つい先日、初恋がどうのと騒いでジェイドたちを巻き込んだ挙げ句、あっさりと想い人と想いを通わせることができたとお花畑になっていた張本人。
 今度は何事かとアズールとジェイドは一瞬だけ目を合わせる。とかくめんどくさいことには間違いないだろうと、内心ではため息が漏れそうだった。
「どうしたんですか、フロイド。この間は嬉しそうにカリムさんと恋人同士になったと報告してきたではないですか」
「もうすでに倦怠期にでも入ったんですか」
 彼の片割れであるジェイドは、事務仕事の手を止めフロイドの話に乗る、下手に放置したほうが面倒だと判断したためだ。そして同じ判断をしたアズールが面倒臭そうに問う。
 ジェイドもアズールも、フロイドとカリムの関係に異を唱えることはない。寧ろ歓迎しているくらいだ。
 フロイドがカリムに「今日のラウンジの仕事、頑張ってな!」などと言われた日にはいつも以上に調子がよくなるし、アズールとしては将来のことを考え、カリムとは良い関係を築いておきたいためにフロイドとカリムの仲が拗れることは良しとしない。
 閑話休題。
 アズールの発言にムッとしたように、フロイドは一度顔を上げて「そんなんじゃねーし!」とふてくされたように言ったあと、またソファに顔を埋めた。
 そうしてもごもごと何か呟いたと思ったら、今度は弱々しい声が上がった。
「自然に手ぇ繋ぐとか、どうすんのかなって思っただけだし」
 ぴしり、と空気が凍るような音をジェイドとアズールは聞いた気がした。
 付き合う前は距離感がどうなっているんだ、と思うほどベタベタと抱きついたり持ち上げたり、それこそ手を繋ぐなんて呼吸をするより当たり前だと言わんばかりにしていたくせに、いざ恋心を自覚して、恋人として付き合うようになった途端にどうすればよいか悩んでいるなんて。
「フロイド……あなた、意外と初心だったんですね」
「……あなたとカリムさんのことですから、すでに一線くらい超えてると思ってましたが……」
 知らなかった片割れの意外な姿に、どこか感心したようにジェイドは呟く。もし自分が誰かに恋をしたらこうなるのだろうか、などと真剣に考えてしまう。
 アズールは意外だとばかりにフロイドを見つめながら、思っていたことを口に出した。その言葉にフロイドは勢いよく体を起こして反論する。
「はぁっ?! ラッコちゃん相手にそんなのすぐできるわけねーじゃん!」
 人魚故に白すぎる顔を真っ赤にしながら反論するフロイドに、そんな彼は見たくなかったとジェイドとアズールは目を逸らす。
 状況は思っていた以上に深刻そうだ。なにせあのフロイド・リーチがここまで拗らせているなど、そうそうないし、彼のキャラクター的にあってはならない。
「もしや、人間の雄同士の交尾の仕方が分からないとか?」
「そんなんラッコちゃんと付き合い始めてからすぐ調べた」
「手を出す気満々じゃないですか……ならばどうしてそんなことになってるんです? あなたらしくない」
「だって……」
 子供のようにでもでもだってと言いそうなフロイドを、見たこともない生き物でも見るようにして続きの言葉をジェイドとアズールは待つ。
 数秒か数分か、ようやく口を開いたフロイド曰く、
「ラッコちゃんが前よりもっと可愛くなってるし、前よりもずっとキラキラしてるから手ぇ出せないんじゃん! なんであんなに可愛くなってんの?! しかもそれでオレのこと「大好きだ!」って言ってくるし、眩しくて目も開けらんないじゃん!」
 なんとも理不尽な言いようである。確かにカリムは可愛いか格好いいかなどで区別するならば、可愛いにカテゴライズされるだろうが、ジェイドとアズールからしてみれば以前と変わりない。
 つまり惚れた欲目によるフィルターがかかっているようだった。そんなことで以前よりも接触が少なくなっているなんて、カリムのほうが可哀想ではないか? という疑問も浮かんでくる。
 というか単に惚気を聞かされたジェイドとアズールは、まるでカリムが入れてくれるお茶でも飲んだ気分になった。
 甘ったるいことこの上ない。幸せそうで何よりですと他人事な――間違いなく他人事ではあるが――ことを聞かされて、今すぐにでもブラックコーヒーを飲みたい気分になった。仕事が終わったらコーヒーを淹れるようにアズールはジェイドに目配せした。
 そしてそんな砂糖製造機と化したフロイドは頭を抱えながら「可愛すぎるラッコちゃんに触れなくなって嫌われたらどうしよう」などと供述しており……、とにかく今日は休むようにジェイドが悩んでばかりいても仕方がない。案ずるより産むが易しという言葉も陸にはあると言葉巧みにフロイドをVIPルームから追い出し、自室に戻るように促した。
 ようやく訪れた静寂に、残ったアズールとジェイドは一つため息をこぼした。
「フロイドがああなってしまうとは……恋とは恐ろしいものですね」
「あんな姿は始めてみましたね……僕もああはならないように気をつけたいと思います」
 とりあえずコーヒーを淹れますね、と席を立ったジェイドの後ろ姿を見送ったアズールは、止めていた集計の仕事にようやく戻ることができた。


 翌朝、フロイドは若干、フラフラとした足つきでオクタヴィネル寮を出た。
 鏡を通って鏡舎に出ると、そこにはいつの間にかフロイドの心をすっかりと奪っていった恋人の姿――カリムの姿があった。
 カリムはフロイドに気がつくと、嬉しそうに満面の笑顔を浮かべる。ただそれだけでフロイドの目が灼かれるかと思った。
 太陽を直接見たような眩しさを覚えて思わず目を細める。
 誰かの笑顔が眩しいなんて思うことは、カリム以外では絶対にないであろうとフロイドは密かに思う。
「おはよう、フロイド!」
 その声はまるで天上から鳴り響く音楽のように聞こえて、さすがのフロイドも自分がどうにかしてしまったのではないかと考え始めたが、脳内の彼の片割れと幼馴染からは今更だと言われた。
「……おはよー、ラッコちゃん」
 なんとか返事を返すと、いつもとは違うフロイドの様子に気づいたらしいカリムが、心配そうにフロイドの顔を下から見上げた。普段は鈍感なくせに、こんなときばかり彼はよく気がつくのだ。
 そして、これはよくない、とフロイドは思った。上目遣いに、心配そうに寄せられる眉。これが己のためのものだと思うと、心臓の奥でぐわりと何かがこみ上げてくる。
「どうした? どこか具合が悪いのか? 保健室に行くか?」
 純粋な好意から心配してくるカリムに罪悪感を覚えると同時に、彼のことが好きだという気持ちがますます膨らんでいった。
 もうこれ以上はないと思っていたのに。カリムはどんどんフロイドの初めてを奪っていく。衝動的に抱きしめたくなるが、そこはぐっとこらえた。
 感情のままに動いてしまったら、まだ人間二年生であるフロイドはカリムを傷付けてしまうのではないかと不安になってしまうのだ。
 きらきら輝くカリムに――これはフロイドの惚れた欲目であるフィルターがかなり掛かっている――なんとか大丈夫であることを告げることができた。
 カリムが好きすぎてどうにかなってしまいそうどなどと、言えるはずもなく、フロイドにしては珍しく口を閉ざすしかない。
 相変わらず心配気なカリムは、それでもフロイドの気持ちを優先してから、「そっか」と納得したように頷いてくれた。ああ、そんなところも愛おしい。
 思わず手が伸びそうになったところ、なんと逆にカリムからぎゅっと手をにぎられてしまいますフロイドは目を丸くした。
 フロイドがあんなに悩んでいたことをあっさりとやってのける。さすがはカリム・アルアジーム。
「……久しぶりに手を繋いだな」
 やはりカリムもフロイドからの接触がなくなっていたことを気にしていたのか、少し寂しそうに、そして照れくさそうに笑う。
 その笑顔たるや、可愛らしさのあまりに崩れ落ち無かったことを、フロイドは自分を褒め殺したくなった。それから、やはり不安にさせていたのだと申し訳なくなった。
「ら、ラッコちゃん……」
 じわじわと繋いだ手から体温が上がっていくような気がして、フロイドの声が上擦る。頬が赤くなってないか心配になった。
「なぁ、今日はこのまま学校に行かないか?」
 不安げに、恐る恐る上目遣いでのお願いに、フロイドが否と言えるはずもない。頬が熱い。顔はきっと、分かりやすいほど赤くなっていることだろう。
 こんなとき、人魚特有の白い肌を恨むことになるとは思ってもみなかった。
「…………いーよぉ」
  なんとか絞り出した声に、カリムは嬉しそうに「ほんとか!」と花が綻ぶように笑った。ああ、その表情は駄目だ。愛しいが過ぎる。
 人魚は愛情深いと、いつか聞いたことがある。まさか自分がこうなってしまうなど露程も思ってなかったフロイドは、あの言葉は本当だったんだなと実感を籠めて思った。
 こうしてフロイドとカリムは、仲良く手を繋ぎながら登校することとなる。
 
 方や満面の笑顔で、もう片方は頬を赤らめながら歩く姿はNRCの生徒達にかつてない衝撃を与えたのは言うまでもないことだった。畳む
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