カブライ / 転生・聖剣LOMパロ / 第二話
記憶なしカブルー×記憶ありライオスの続きです。

 やってきた酒場には、ライオスにとって見慣れた人物がいた。
 かつてカブルーの仲間達だった者が全員揃っている。それぞれ記憶はなさそうなのに、みんな集まっているところを見るに、それだけ縁が濃かったのだろうと思うと、それならライオスはなぜ一人なのだろうと考えてしまう。
 これも悪魔の呪いなのだろうかと落ち込みかけるが、突然大の男が落ち込み出したらきっとみんな驚くだろうと我慢した。
 カブルーに案内され、椅子に座る。じろじろと向けられる視線が痛い。
「みんな、この人はセンシだ。どうやら街道で盗賊に遭ったらしい」
「……え? あ、あー……センシだ。よろしく」
 一気にライオスを見るみんなの視線が冷たくなった。カブルーに紹介されたものの、一瞬誰のことを言われたのか分からなくて間が空いてしまったのが原因だろう。
 偽名を名乗るにしてももっと近い名前にすべきだったなと今更ながら後悔する。怪しまれているのを実感し、視線をうろうろと彷徨わせる。
 カブルーはそんなライオスや仲間達の様子を気にした風でもなく、給仕に飲み物を頼んでいた。ややあってライオスの前にも果実水が置かれた時、一緒に頼んでくれたのかと感動する。さすがカブルーである。
「――で? そいつ、センシ? が街道で盗賊に遭ったからってどうするつもりなのさ」
 ハーフフットのミックベルが胡散臭そうにライオスを指差す。その問いに、カブルーは当たり前のように「盗賊の討伐に行こうかと思って」と答えた。
 そんなカブルーの返事に、ミックベルはというと「はぁっ!?」と大声をあげて立ち上がった。
「何、そんな怪しい奴のために盗賊倒して荷物でも返してもらおうっての? うげー、僕そんな慈善事業嫌だからね!」
 そう言うとミックベルはライオスをジロリと見遣り、「だいたい金も持ってなさそーだし」と付け足した。事実である。
「金を持っているかどうかは関係ないだろ? それに、僕たちは金儲けのために冒険者をしているわけじゃない」
「そうだけどさ……」
 拗ねたように言うミックベルをカブルーは嗜めると、ミックベルは首を竦めた。
 彼らが冒険者をしている理由はなんだろう? そんなライオスの疑問が顔に出ていたのか、カブルーがにこりと笑う。
「僕たちはある人達を探しているんです」
「探している?」
「ええ。七賢人を」
「七賢人……?」
 聞いたことのない単語だ。七賢人というのだからとりあえず七人いるのだろう。悩み始めてしまったライオスに、カブルー達は驚く。まるで信じられないものを見るように。
「え、七賢人を知らないんですか?」
「う、うん……知らない」
 知らないことがそんなにおかしいことなのだろうか。焦っていると、カブルーがこほんと咳払いをする。
「七賢人は二百年前に五期続いた戦争を終結させた英雄たちのことですよ」
「学校の教科書にも載ってるぜ〜」
「ミックベルは学校に行ってないでしょ」
 学校の教科書に載っているような人物たちなのか、それなら知恵のドラゴンたるライオスに挨拶に来てくれても良いのに。二百年前だったらだいぶ暇をしていたと思い出しながら頷く。
「その中でもガイアは街道にいるらしく、僕達はまずガイアに会おうと思っています」
「ガイア……」
 名前を聞いて、少し考え込むと不意に大きな岩に顔が浮かび上がった映像が頭の中を過ぎる。それがなんだったのか分からず、驚いているとカブルーたちの視線が再びライオスに集まっていることに気づく。
 慌てたライオスは両手をあげて「なんでもない!」と言うが、誰も信じていないようだ。当然だろう。偽名を使っている一文無しの冒険者だ。
 ライオスは頬を掻きながら「えーっと……」と言葉に詰まる。
「ガイアって、岩に顔があったりするのかな」
「ガイアのことご存知なのですか?!」
 カブルーが前のめりになってライオスに問う。ライオスはその勢いに驚きつつも「うぅん」と唸った。
「知っているというか……頭に浮かんできたというか……」
「頭に浮かんできた?」
「うん……信じてもらえないかもしれないけど」
 これは知恵のドラゴンの特性なのだろうか。世界の番人として知るべき知識を携えているのかもしれない。だとしたら他の七賢人とやらも分かるのかも?
「他の七賢人の名前も教えてくれないか?」
 机の上に乗り出して聞いてみると、カブルー以外のパーティは身を引いたが、カブルーだけはライオスの疑問に答える。
「詩人のポキール」
「……鳥みたいな人?」
「奈落の主オールボン」
「球根みたいな頭をしている? 背景は……真っ暗だ」
「海を渡る亀トート」
「歳を取った海亀……湖みたいなところにいる気がする」
「獣王ロシオッティ」
「格好いい獣が眠ってる姿……場所は森の中かな」
「ちょっと! 待ちなさいよ!」
 ぽんぽんとやり取りするカブルーとライオスの間にリンシャが割り込んだ。
 そして先刻よりも疑いを深めた眼差しでリンシャはライオスを見る。その眼差しには怯えも含まれている。
「七賢人のことを知らないのになんで名前が分かったら姿が思い浮かぶのよ!」
 しかもだんだん場所が具体的になってきてる!
 リンシャ以外のパーティメンバーも気味悪そうにライオスを見ていた。ライオスは調子に乗ってしまったことに、失態を犯したと気づく。
 もしこれで己が知恵のドラゴンであることがバレでもすれば、元の森へと戻されてしまうかもしれない。それはいやだ。あの洞窟の前でただ一人、いつ終わるかも分からない役目のためにいるだけなんて。
 せめてドラグーンを見つけてから、と考えていると、いよいよカブルーのパーティの中から不満が噴出し始める。
「やっぱり怪しいやつのために盗賊狩りなんてごめんだね」
「ミックが言うなら、クロも」
「私もちょっと……」
「僕も少し気が引くかなぁ」
 どんどんライオスに対しての信頼が失われていく。それはそうだ、気味が悪くて当然だろう。本名を名乗らず、金も持っていない、七賢人を知らないと言うのに名前を上げられればどんな人物か分かるなんて訳の分からない人間を助けようだなんて誰も思わないはずだ。
「何を言ってるんだ、みんな! これだけ七賢人に詳しい人なんてそういない!」
 しかし、カブルーは違ったようだ。嬉しそうにライオスの手を握る。
「それにセンシが悪人ではないことぐらい分かるだろう?」
 何を以てして悪人ではないと言い切れるのかとライオスは思ったが、どうやら他のメンバーもライオスのことを怪しいとは思いつつも悪人とは思っていないらしい。何故だろうか。
 疑問符を浮かべているライオスにお構いなしでカブルーはずいずいとくる。
「他には? 傀儡師アニュエラなどは?」
「アニュエラ……うーん、彼女の姿は見えないかな……」
 アニュエラと聞いてもぼんやりとしか面影しか浮かばない。なんとなく、もう彼女はこの世にはいないのだろうという確信があった。
 そう答えると、ライオスの手はさらに強く握られた。少し痛みを覚えるくらいだ。カブルーを見ると彼は瞳孔を開いてライオスのことを見ていた。なんとなく懐かしい気持ちになる。他国との会食の時などで様々な貴族などが来るときに、ライオスに重要人物を教えるときのカブルーによく似ていた。
「アニュエラはすでに亡くなっているという話です。あなたが本当に七賢人について詳しいことがよく分かりました。それなのに、七賢人が分からなかったふりをしていたわけでもないことも」
 何か特別な力を持っているのかも、とどきりとするようなことを言い当てるカブルーに、ライオスは視線を逸らすことしかできない。
 万が一でも自分が人間とは異なる存在であると知られてはまずいが、今でも嘘をつくのが苦手だ。
 ライオスが視線を泳がせながら「どうかな……」と誤魔化してつつ、カブルーに手を離してもらえないかと少し手を引いてみるが、カブルーの力は強く抜け出せない。
 他人の機微に聡い彼が、あからさまに手を離して欲しそうにしているのに手を離さないということは、何か理由がある時だ。
「センシ、あなたが良ければ僕たちのパーティに入りませんか?」
「え……?」
「何を言ってるのよ、カブルー!」
 カブルーからのパーティの誘いに、リンシャから反対の声が上がる。他のパーティメンバーも困惑しているようだ。ライオスにとって、一時でもカブルーの傍にいられることは嬉しいが、だからと言って他のメンバーに迷惑をかけたり不快にしたいわけではない。
「申し出は嬉しいが、それで君が仲間からの信頼を失うことは望んでいない」
「その程度で失う信頼を築いてきたつもりはありません」
「いや、でも、話し合いはした方がいいんじゃないか?」
 ちらちらと威嚇してくるミックベルなどを見ながらライオスが言うと、カブルーは「それもそうですね」とようやくライオスから手を離してくれた。
「みんなはどう思う?」
「だからさっき言ったじゃん! そんな怪しいやつと一緒なんてお断りだね!」
 ミックベルが勢いよく立ち上がって言う。机の上に乗っていた食べ物などが揺れ動くが誰もそれに意義がないようで黙っている。
 やっぱりそうなるよなぁとライオスが思っていると、カブルーが薄らと笑う。とても軽薄な笑みだった。
「センシには申し訳ないのですけど、俺はセンシが利用できると思っている」
 ライオスの前で堂々と利用できると宣言するカブルーに、ライオス含めみんながギョッとした。それを本人の前で言ってしまうのかと驚いてしまう。
「七賢人がどこにいるか、俺たちは知らない。だけどセンシが入ってくれればそのヒントを手に入れることができる。なんでか分からないけど彼はどこに七賢人がいるか分かるらしいし、今までのように闇雲に探すよりも効率がいい」
「ちょっ、カブルー! いくらなんでもその言い方は――!」
 流石にリンシャが止めるが、ライオスとしてはなるほどと頷いていた。打算目的で一緒にいようと言われる方が、今のライオスにとっては逆に安心材料にもなる。
 知恵のドラゴンだとバレてマナストーンを奪われると言うのが一番あってはならないことだ。だから探知機だか道具扱いだかの方が安心できるというものだった。
 カブルーの口からそう言われると少し悲しいけれど、今の関係性では仕方ない。前世の仲を覚えているから寂しくなってしまうが、前世のほぼ全てをライオスに捧げてくれたカブルーを、ドラゴンとして生まれたライオスの生に縛りつけようとは思わない。
 ライオスはカブルーの提案に笑顔で頷いた。
「それなら俺は別に構わないよ。世界を見て回りたいと思っていたから、ちょうどいいし」
 そう、ライオスはこの世界に生まれてからマナストーンのある洞窟と森しか知らない。だから外の世界を旅したかった。それが叶うなら、道具扱いだって構わない。何より、道具と言ってもカブルーたちなライオスに対して酷い扱いをしようなどとは微塵も思っていない。
 軽く承諾したライオスに、今度はリンシャたちたから心配そうな視線が寄せられた。
 そんな心配されるようなことなのかな、とライオスが頬を掻いていると、実際にライオスを道具扱いしようとしたカブルーにさえ本当にいいのかと言う目で見られてしまい、君が言い出したことだろうと思わず言いたくなった。
「さっきも言った通り、俺は世界を見て回りたいんだ。俺は、その――冒険者と言っても田舎から出てきたばかりで、世界のことには詳しくない。だから君たちが案内人になってくれると嬉しい」
 どうかな。そうぎこちなく笑うと、カブルーもどこか安心した様子で、それならばと再度手を差し出してきた。
「パーティ結成ですね。センシ、よろしくお願いします」
「ああ、こちらこそよろしく頼む」
 結局、他のパーティの意見を聞かなかったけれど、道具扱いを受け入れたライオスに同情的になったのか反対の声は上がらなかった。
 そのまま、その日のうちに街道に行こうと言う話になったのだった。

 街道に向かう道中、ライオスはあらゆる質問をされた。どこ出身なのかとか、なんでそんなに世間知らずなのかとか。
 ライオスは自分の住んでいた森の方角に小さな村があり、排他的な村の空気に耐え変えねて飛び出したのだと嘘を吐いた。嘘を吐くのが苦手だったライオスも、こうして簡単な嘘を吐けるようになったのは前世でカブルーに教わったからだ。
 嘘にはほんの少しの真実を交えて嘘を吐けばいい。それだけで人は信じてくれると。
 ライオスは村はないが本当に自分が過ごしていた方角を教えたし、村を飛び出した理由は前世であったことを言っている。ライオスの吐いた嘘は一つだけ。カブルーもそれを信じたらしく、ライオスは自分が成長したなぁと感慨深く思った。
「それにしても、魔物が出なさすぎじゃない?」
 ドワーフのダイアが不思議そうに呟いた。確かに、街道もしばらく歩いているのに一回も魔物に出くわさないのは珍しいのを超えてありえないことだとホルムが同意する。
「いるにはいるっぽいんだけどさー、なんか隠れてるみたいなんだよね」
 それに対してミックベルが持ち前の感覚の鋭さで魔物の気配はすると断じた。けれど、何かに怯えているのか出てこないと言うことも。
 ライオスは思わず体が跳ねるのを堪えた。やはり人間の姿になってもライオスが恐ろしいのか、それとも前世からの呪いか。魔物との縁がさっぱり切れてしまったライオスは、迂闊に「そうなのか?」と言い出しそうになるのを、必死に堪えた。
 そんなことを言えば、自分が原因であることがバレてしまう。挙動不審にならないように気をつけ足を進める。こう言う時、前世の記憶があって良かったと思う。伊達に数十年の間、一国の王をしていたわけではない。少しくらい腹芸はできるようになっていた。
「いいじゃないか、魔物が出ない方が安全で。センシ、どの辺りで盗賊に襲われたか覚えてます?」
「えぇと……俺は反対側から来たから、もう少し先かな……」
 冷や汗が出そうになるのを必死で堪えていると、分かれ道に出た。カブルーたちは当然ライオスが来たであろう道を行こうとしたが、それをライオスが止める。
 反対の道の向こう側に、何か大きな気配を感じたからだ。
「待ってくれ。あっちに行こう」
「え……でもセンシが襲われたのはこっちの道、ですよね?」
「この向こうに何か……多分、君たちが求めているものがある……いや、いる気がする」
「それって……!」
 カブルーの顔が輝く。だがすぐにそれを引き締め、首を振る。
「いや、今はセンシの荷物を取り戻すのが先だ。そっちの道は後にしよう」
 正義感の強いカブルーらしい言葉だ。けれど、ライオスには困る言葉でもあった。
 なんと言ってもライオスは盗賊に襲われていないのだから。盗賊とはいえ、無関係な人たちを巻き込むのは申し訳ない。
 慌ててライオスはカブルーたちを止めに入る。
「俺の荷物は剣と少しの食料くらいだ。それよりも、この道は来た時にはなかった気がする。今だけしか現れていないのかもしれないし、後回しにしたら後悔してしまうかもしれない」
 荷物の件も道のことも、今度は大嘘だらけだ。もしかしたら視線が泳いでいるかもしれないし挙動不審になっているかもしれない。実際に怪しいものを見るような視線でダイアやリンシャには見られている。反対にカブルーは真剣な表情で、何か考えているようだった。
 そうして決断の時。
「分かった、センシの言った道の方に行ってみよう」
 カブルーがそう言い、ライオスが促した方の道へと進むことになった。
 他のメンバーはやれやれと肩をすくめてカブルーの後について行く。ライオスはと言うと、最後尾でホッとしていた。これで盗賊たちには迷惑はかからないだろう。
 しばらく歩き続けていると――相変わらず魔物は現れなかった――、大きな岩山が道を塞いでいた。そこから先へは行けそうにない。
「ほら見ろ、何もないじゃないか! それにさっきの分かれ道だって昔からあったし、やっぱりそいつ怪しいやつだ! そんなやつパーティから追い出せよ!」
 ミックベルが癇癪を起こしたように叫んだ。その通りすぎてライオスは耳が痛くなったが、それ以上に岩山が気になった。
 なんの変哲もない岩山だけど、確かにそこに“いる”。
「あなたがガイアなのか……?」
 ライオスは岩山に近づいていき、そっと声をかける。そんな姿を、不気味そうに見られていたことは分かっていたが、それでも言わずにはいられなかった。
 するとどうだろうか、岩の凹凸が開き、目が現れた。横に入った裂け目が動き出し口になる。
「おや、珍しいお客様だ。どうしたんだい、子供達よ」
 大きく、低く、よく響く声だった。ライオスはやっぱり、と納得していたが、他の面々はそれはそれは驚いたようで。
 特にカブルーは目を見開いて口をあんぐりと開けていた。
「さぁ、子供達。もっと近くにおいで」
 ライオスが地面が土から岩になっているところに立つと、カブルーや他のみんなも同じように岩の上に乗った。直後にごごご、と地響きが鳴って岩がせり上がり、ガイアの顔に近づく。
 ライオスは呆然としているカブルーに視線をやり、「会いたかったんだろう?」と促した。
 ハッとしたカブルーが、ようやく呆然とした顔から少し慌てたような顔になり、ガイアへと話しかける。
「あ、あの……俺……僕はどうしても昔から会いたい人がいて、でもそれが誰だかわからなくて……教えて欲しいんです。僕が誰に出会いたいのか」
 会いたい人がいる。そう聞いて、ライオスの胸が苦しくなる。そうか、カブルーにはどうしても会いたい誰かがいるのか。
 わからないと言うことは、きっと前世に由来する誰かなのだろう。昔のパーティメンバーにはもう出会えている。では誰に会いたいんだろう、とライオスは考えた。メリニの関係者だろうか。マルシル、ファリン、ヤアド、それとも――。
 考え込んでいると、ガイアがなぜかライオスを見つめていた。
「君の求めている人はすぐ近くにいる。けれど、早く気がつかなければすぐに遠くへ行ってしまうよ」
「近く……?」
「私から言えるのはそれだけだよ。大事なことは自分で気づかなければいけない」
 それだけ言うと、足場がどんどん低くなっていき、ガイアの顔が遠のいていく。
「待ってください! もっと、もっと教えてください!」
 もっと教えてほしいと訴えかけるカブルー。しかし無情にもガイアはただの石山に戻ってしまった。
 カブルーの両手がだらりと下ろされた。
「カブルー……」
 リンシャがそっとカブルーを呼ぶと、カブルーの瞳に光が戻る。
「凄い、七賢人と出会えた……! 俺の会いたい相手は、近くにいるって!」
「か、カブルー?」
 ホルムが不安げに名前を呼ぶ。カブルーはと言うと、ライオスに近づきがしりと手を掴んだ。
「センシ、あなたのおかげだ! 今まで街道を何度も来たのに、なんで気づかなかったんだろう? でもこれで光明が見えた、これからも一緒にお願いします!」
 歓喜するカブルーに、ライオスは複雑な気持ちになりながら頷いた。頷くしかなかった。
 カブルーが会いたい相手とは誰だろう。それだけがライオスの心に残っていた。畳む
    
カブライ / 転生・聖剣LOMパロ /  第一話
記憶なしカブルー×記憶ありライオスです。

 穏やかな最期であった、とライオスは思う。トールマンの平均年齢よりも数年も生きながらえた。
 看取ってくれたのは旅の仲間であったマルシル、竜の血が混ざりトールマンよりも長命となった妹のファリン。
 そして、我が半身と言っても過言ではない、愛すべき伴侶。また宰相として長く支えてくれたカブルー。彼もまたよく長生きしてくれたと思う。彼の方がライオスよりもいくらか若かったから、見送ってくれるだろうとは思っていたが些か長く付き合わせすぎた。
 彼らは涙を浮かべてはいたが、全員が微笑んで、ライオスの今際の際を見届けてくれた。
 視界が見えなくなっても声だけは最後まで聞こえていた。泣き出してしまったマルシルの頭を撫でてやりたかった。泣くのを堪えるように鼻を啜るファリンの肩を抱いてやりたかった。
 何より、「お疲れ様でした、我が王」と言ってくれたカブルーを強く抱きしめたかった。
 そこで意識はなくなり、ライオスは自分が死んだのだと分かった。人は死ぬとどうなるのだろうか。ライオスの魂は体から離れると、長いこと、昔の夢を見ることとなった。
 海に沈んでいたメリニがだんだんと発展していく様。悪魔の欲望を喰らった瞬間。妹のファリンを蘇生するために最低限の荷物だけを持って迷宮へと潜り込んだ日。人間嫌いが決定打となった学生時代。――そして、自分自身が生まれる瞬間。
 記憶にはないだろうに、黄金色の髪を僅かに生やした赤ん坊の自分が目を覚ました瞬間を、確かにライオスは見た。

 刹那、ライオスの瞳は、再びライオスの意思を持って開いたのだ。
 頭を動かし、ここはどこだとあたりを見渡す。周囲は見渡す限りに木々が植っている。
 しばらくして、ライオスがいる場所は深い森の奥のようであると気づく。森の中に潜む生き物の気配が色濃く感じられる。不思議な感覚だった。
 ライオスは混乱した。確か己は、仲間を、妹を、最愛の人を残して死んだはずだ。なのになぜ生きているのだろう。
 混乱していたが、それでも喉の渇きを感じてライオスは身を起こした。そこでようやく違和感に気づく。己の体が、人の形をしていないことに。
 ライオスが自身の体に目を向けると、黄金の鱗が見えた、その鱗に覆われた尾も、爬虫類のような足も。ぱちぱちと瞬きしてもそれらは消えなかった。
 急いでライオスは近場の湖を探した。感覚が鋭くなっているのか、どこに水場があるかすぐに分かった。
 四足の足で走る。走る。走る。
 あっという間に湖についた。湖はまるで鏡のように空や森を映していた。ライオスは恐る恐るその湖に近づく。そうして、そうっと湖を覗き込んだ。

 そこには四本の角を持った黄金の竜がいた。

 ライオスは驚いた。何度も身を起こしては体を確認し、湖を見遣り、くるくるとその場を回ってしまいには湖に落ちた。
 湖は大きな水飛沫を上げ、ライオスは這々の体で湖から這い出ることになったが、これで確定した。
 ライオスは、憧れていた竜に生まれ変わったのだと。
 三つ首ではないことには多少不満を持ったが、秀でて頭がいいわけではないライオスが複数の頭を持ったところで喧嘩してしまいそうだから良かったのかもしれないと考え、湖の水をごくごくと飲むと上機嫌に元いた場所に戻った。
 見よ、この黄金の翼を。ばさりと広げた翼を、首を回して見る。空を飛べそうだ。実際、試してみたところ飛ぶことができた。
 それならばブレスもできるのだろうかと試そうとしたが、空から見た森の美しさに、自然破壊はいけないと諦めた。
 それから数日はライオスは己が竜であることに現を抜かして過ごした。森の生物たちはライオスを恐れてか近づいてこないが、ライオスはその事に全く気づかずに。
 そんな日々を送っていたある日のことだ。
 鳥のような姿をした二足歩行の生き物が複数現れた。彼らは風読み士と名乗り、知恵のドラゴン、メガロードのドラグーンだという。
 知恵のドラゴンとはなんだ、ドラグーンとはなんだ。あまりにも格好いい響きに羨ましくなる。
「貴方が新しく生まれた知恵のドラゴンですね」
 すると一人がライオスのことを知恵のドラゴンと呼んできた。そんなものになった覚えはないが、ライオスがドラゴンであることには変わりない。
「えーと、知恵のドラゴンとは?」
 竜に生まれ変わって初めて声を発して、ちゃんと人語が話せることに驚いた。思わず目をまん丸にして前足で口元を覆う。もっと格好いい咆哮などを想像していたから、少し残念だ。
「……本当に知恵のドラゴンか?」
「知識が足りないように見える」
「威厳も足りていないな……」
 風読み士たちはヒソヒソと話しているが、ドラゴンになったおかげか聴覚が鋭くなっているため、丸聞こえである。王であった頃もよく言われたなぁなどと呑気に考えていると、一人が咳払いをしてライオスの前に出てきた。
「まずはお名前を伺っても良いでしょうか」
「あ、ああ。俺の名前はライオスだよ」
「ライオス様ですね。まずは知恵のドラゴンの説明からしましょう」
 そう言って風読み士たちはあたりを見渡すと、ライオスの体で隠れている洞窟の入り口を見つけた。ライオスは居座りがいいからここにいただけで、別に隠していたわけではないのだが。
 それを確認した風読み士はふむ、と頷く。
「ちゃんと役割は果たしているようですね」
「……ああ、もちろん」
 よく分からないがとりあえず頷いておくことにした。それらしく自分を見せるのは大事だと前世でよく言われたものだから、そうしておくことにする。
「安心しました。金のマナストーンを放置してどこかに行くほど馬……愚……知識が足りていないわけじゃないことがわかって」
 彼らがライオスのことをなんとか貶めないように言葉を探していたらしいが、十分貶めていることに気づいているだろうか。ライオスは気にしていないのだから、いいのだが。
 はて、金のマナストーンとは? 疑問を抱いていると、風読み士が再び口を開く。
「マナストーンは奈落から死者を蘇らせることもできる膨大な力を持つ特別な石。知恵のドラゴンは世界秩序の番人として、それを守らなければいけません」
 確かにあの洞窟の奥からは力強い何かを感じ取っていたが、死者を蘇らせることができる代物があったなんて。
 前世では迷宮内では当たり前のように蘇生ができていたが、それはシスルが迷宮に不死の呪いをかけていたからだ。悪魔がいなくなり、迷宮が崩壊後は死んだものは死んだまま。生き返らせることなんてできない。
 それは生き物としての成り立ちを、世界の秩序を壊すようなことだ。なるほど、世界秩序の番人。確かにそんな大それたものを任されているのなら、そう呼ばれるのも納得である。
 にしても、生まれ変わってもまた面倒な役割を担わされてしまったのかとライオスはがっかりする。
 ドラゴンに生まれ変わって、自由気ままに過ごせるかと思っていたが、そうもいかないらしい。ドラゴンという存在もどうも特別なものらしく――ライオスはそう聞いた時に大変興奮したが、なんとか表に出さないように気をつけた――人里に姿を現すことはないそうだ。
 もし人の世界に介入したいのであれば、自分自身のドラグーンを見つけることだとも教えられた。
 ドラグーンとはドラゴンと契約を交わした人間のことをいう。ドラゴンの命が絶えない限り何度でも蘇り、また歳も取らないらしい。それはすごい、ずるいんじゃないのか? とライオスは思った。
 しかし、ドラグーンか。これから長く生きていくことになるだろうライオスには、話し相手として欲しい存在だなとぼんやり思った。
 何せライオスはここから離れられないらしいので。

 最初の百年は自分の身体を検分して過ごした。ドラゴンという存在がどれだけ強いのか気になった。
 試しに一発、空に向かってブレスを放ってみたが、黄金の一閃によって綺麗に空が割れた。風読み士たちがやってきて苦情を言ってきたから、もうしないと約束した。

 次の百年はマナストーンについて研究した。眩く黄金に光るマナストーン。まさに金の名に相応しいそれは、ライオスが触れることを戸惑うほどの力を持っていた。
 どんな力が満ちているのか、それが悪用されたら世界はどうなってしまうのか、様々な思考を繰り返した。これは前世でいう、悪魔の力に似ているのだろう。そう考えるとぞっとしてしまう。
 これは絶対に守り切らねばならいと決意を固くすることになった。

 次の百年は戦いに明け暮れることとなった。人間たちがマナストーンを求めて森に進軍してきたのだ。大抵の人間は森の魔物たちが排除してくれるが、それでも奥まで到達してしまう人間はいる。
 この世界ではどんな姿をしていてもトールマンやハーフフットなど種族関係なく人間というらしい。色々な人種の人間がライオスの姿を見て怖気づき、しかし襲いかかってきた。
 伊達に一度魔物の姿になったわけじゃない。ある程度自分の耐久力も知っているし、この世界での魔力の力――マナと呼ぶらしい――についても使い方を覚えた。
 尻尾を振るい、前足で薙ぎ払い、呪文を詠唱してマナストーンを狙う人間たちを退けた。血に汚れる森に悲観しては、早く諦めてくれないかと祈るばかりだった。

 次の百年は、なんでも他の知恵のドラゴンが反乱を起こそうとしているらしいと情報が入った。しかしライオスはそんなこと言われてもどうすればいいのか分からない。何を思って反乱を起こそうとしたのかも分からないし。とにかくマナストーンを守らねばとだけ考えていた。
 だからライオスはただ静観を貫いた。そうしていたら、いつの間にか事は片付いたらしく、風読み士から噂のドラゴン――ティアマットというらしい。格好いい名前だ――は奈落に封じられたと知らされた。
 奈落に封じられたということは、死んだということではないのか? と思ったがライオスは特に何も言わず、ただ「そうか」とだけ告げた。

 それから――数百年と時が過ぎていった。
 外界との交流はなく、あったとしてもマナストーンを狙う不届きものばかり。ライオスはいい加減、一人でいることに飽きていた。前世では人に興味を持とうとしなかったライオスが、である。最近では前世であったことばかり思い出している。
 知恵のドラゴンとして生まれたからか、記憶は衰えず、今も鮮やかなまま。
 特に王として過ごしてきた日々を思い出していた。あの頃は大変だったけど、楽しくもあった。
 ブルネットの巻き毛の彼、ライオスの伴侶、若い身の上で宰相となったカブルーが支えてくれたおかげで、どんなに辛かった時もなんとか乗り越えることができた。彼が自分のために奔走してくれていたのをよく知っている。
 彼だけじゃない。妹のファリンも、マルシルも、センシも、チルチャックも、イヅツミも、ヤアドも、それから、それから。みんなが恋しい。
 ライオスが竜に転生したように、他のみんなもこの世界に転生していないのだろうか。そうだったらいいのに。
 それとも、もしかしたらみんなは他の世界に転生してしまったのだろうか。だとしたら一人ぼっちになってしまったようで、とても悲しい。
 けれど、それ以上にみんなには健やかに生きていてほしい。みんなには幸せにでいてほしいから。
 ぽとりと涙が一粒こぼれ落ちた。

 ドラゴンの存在は伝説とされ、人間が訪れることがなくなってきた。
 それならもう、いいんじゃないか。役目を投げ出して外の世界に行ってみても。そう考え始めたのは、孤独に耐えきれなくなったから。
 黄金に輝くマナストーンの近くにやってくる。ライオスはそっと目を閉じてマナストーンに触れた。
 ドラゴンという強大な存在のマナがマナストーンに流れ込んでいく。同時に、魔法陣をいくつも展開させて特殊な結界を作っていく。
 要するに、誰の手にも渡らなければいいのだ。ライオスの持ち得るマナを使って封印してしまえばいい。生半可な力では封印は解けないだろうし、そうすればライオスは自由の身だ。
 この世界であまりに長い時間を一人で過ごしてきた。もしかしたらマルシルよりも長生きしているかもしれない。
 詠唱を止めて魔法陣がぐるぐると回りだす。次の瞬間、眩い輝きに包まれていた。
「……うぅ」
 チカチカと真っ白に染まった世界がだんだんと視界が戻ってくる。洞窟内の冷たい剥き出しの岩肌。特に美味しくもなかった苔。そして一番に目に入ってくる……。
 そこではっとしてライオスは身体を起こした。マナストーンがあった場所に何もなくなっている。いや、何かがあるのはわかるが何も見えない。これはライオスや他のドラゴンだったらわかるが、他の生命体では気づけないだろう。
「うまくいった……!」
 やった! と力強く握り拳を作り、そこで違和感を覚える。ライオスは両手を自分の目の前に持ち上げた。
 そこには五本の指がそれぞれある人間の手が見えた。驚いてひっくり返ると自然と「グェッ」とカエルが潰れるような声が出て、また違和感を覚えた。
 ライオスは立ち上がって自分の身体を見回した。しなやかに動く体を纏う鉄の鎧。見覚えのあるそれはライオスがかつて人間で、そして冒険者であった時に纏っていた鎧と一緒だと気づいた。
 ぺたぺたと両手で顔を触ると頭部に毛髪、目と鼻と口を確認。急いでかつて水を求めて湖まで走っていった。
 随分と小さく、そして二足歩行になってしまったからか足が遅い。それでもやっとの思いでついた湖で、いつかのように水面を覗き込んだ。
 そこには遥か昔の、ライオスが人だった頃の姿が映っていた。年齢的には悪魔を倒した時と同じくらいだろうか。マナを流し込み過ぎたせいで、竜の姿を保てなくなったようだ。
 懐かしい己の姿に、しばしこんな顔だったか? と眺めること数時間。日が傾き始めた頃になってようやく自分を見つめすぎだと気がついた。
 ライオスは洞窟の方を一度だけ見遣り、顔を背けた。少しだけ、少し世界を回ってきたら戻るから。
 そんな言い訳をして、ライオスは森を後にした。

 ライオスは街道の遠くに町が見えてきたことに気づく。よく見ようと手をかざして遠くを眺めるようにすると、きゅるりと眼球が回ったような感覚の後に町の様子がよく見えるようになる。随分と牧歌的な町であった。村と呼んでもいいのではないかと思う規模の町。
 規模はともかく、ライオスにとって久しぶりの、今世では初めての人里だと思うと緊張してきた。まともに誰かと話すのは風読み士以来だ。
 自然と足が早くなっていき、気がつけば走り出していた。相変わらず森と同じで魔物は現れないためライオスの邪魔をするものはいない。
 疲れも空腹も感じないらしい今のライオスの体はまっすぐ最短距離で町に向かっていき、あっという間に町に着いた。
 しかしライオスは、町の入り口で立ち尽くしてしまう。喜び勇んでやってきたが、ライオスはこの世界の金を持っていなかった。風読み士曰く、(きん)を司る知恵のドラゴンらしいのに(かね)がないとはこれいかに。
 どうしよう、と悩んでいると背後に誰かが立ったのがわかる。相手も気配を隠そうとしていないのでやましいことがあるわけではないのだろう。
 ゆっくりと振り返って、ライオスは息を呑んだ。
 ブルネットの巻き毛に、綺麗なアーモンドの形をしたロイヤルブルーの瞳。彼には見覚えがあった。いや、あり過ぎた。
「か、」
「どうかしましたか、こんな町の入り口に立って」
 名前を呼びそうになった瞬間、被せるようにかつての恋人によく似た青年は笑った。ライオスもよく見たことのある愛嬌のある愛想笑いで。
 その笑顔を見てライオスは悟った。彼は何も覚えていない。いや、ただよく似ているだけの他人かもしれないことを。
「あ……その……」
「冒険者の方ですか? 宿屋はそこの道を左に行ったところにありますよ」
「え、いや、その……俺は金、を、持っていなくて」
 何を言っているんだろうとライオスは思った。そんなどうでもいいことを喋って。しかも久しぶりに喋るものだから声の出し方も忘れている。
 けれど青年は目を丸くすると、すぐにライオスのことを心配そうに下から覗き込む。
「街道で盗賊にでも遭ったんですか? 最近噂になっていますし」
「盗賊……そう! その、金を、払えば、許してくれるって……」
 言葉尻にいくほど声が小さくなっていく。名も知らない盗賊には申し訳ないが、悪者になってもらおう。
 それにしても盗賊なんているんだな、と呑気に考える。ライオスが街道を歩いていた時は誰とも、何とも遭遇しなかった。もはやこの世界でも魔物に嫌われているのだろうか。薄々と気づいていたが、とてもがっかりしてしまう。
 そのライオスの反応をどう受け取ったのか分からないが、青年は「許せませんね」と呟いた。どうやら盗賊に遭って落ち込んでいると取られたらしい。ますます名も知らない盗賊に対して申し訳なくなる。
「とりあえず酒場に行きませんか? お金のことは心配しなくて大丈夫です。俺もこう見えて冒険者をやっていて、パーティを待たせてるところで……」
「ちょっと、カブルー! いつまで待たせるつもり!?」
 酒場と思われる建物の入り口から濡羽色の長髪の女性が出てきた。ライオスは彼女のことも知っていた。カブルーのパーティにいた魔術師の女性だ。
 名前は確か――、
「リンシャ! ごめん。待たせるつもりはなかったんだけど、この人が困っているみたいだったから。なんでも街道で盗賊に遭ったみたいで」
「盗賊? またなの?」
 そうだ、カブルーが姉のように慕っていると言っていた女性、リンシャだ。そして先ほど、ただ容姿が似ているだけだと思った青年の名は。
「ああ、申し遅れました。僕の名前はカブルー。気軽に呼びすてで呼んでください」
 そう言って握手を求められる。やはり彼はカブルーだった。記憶は、ないけれど。
 数百年ぶりの再会に喜べばいいのか、それともすっかり忘れられていることに悲しめばいいのか。複雑になりながらもライオスはカブルーから差し出された手を握り返す。
「カブルー……よろしく」
「よろしくお願いします。ところで、あなたの名前をお聞きしても?」
「え、俺? ……あー、俺の名前は」
 そうだ、名乗られたのだから、こちらも名乗り返さなければ失礼に当たる。
「俺の名前は……センシだ。こっちも、呼び捨てでいい」
 気がついたらセンシの名前を名乗っていた。自分でも驚いたが、なんとか表情には出さなかった。けれど、リンシャの視線とカブルーの何か伺うような目から、偽名であることはばれているだろう。
「わかりました、センシ。では酒場に行きましょう」
 離れていく手の温度に寂しく思いながら、カブルーとリンシャに連れられて酒場へと向かうのだった。畳む
    

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